「反・自由貿易論」中野剛志著を読みました

Category : その他
この本を読んで僕も自由貿易の恐ろしさとかTPPに反対の側の人の理由がわかりました。

反・自由貿易論 (新潮新書)反・自由貿易論 (新潮新書)
(2013/06/15)
中野 剛志

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この本の中でとくに印象に残ったのは以下のような箇所です。

・奇妙なことに、経済学の自由貿易理論の基本とされるヘクシャー・オリーンの定理は、資本のグローバル化を想定していないのです・・・とりわけTPPは、製品やサービスの自由化だけでなく、投資の自由化まで含めているのに、資本の国際移動を想定していないというのはあまりに奇妙な論理でしょう。

・加えて、この種の経済モデルが推定しているのは、関税の撤廃による経済効果のみです。TPPは、関税撤廃のみならず、医療や投資の政府調達に関する「非関税障壁」の撤廃(すなわち制度の変更)を含む包括的な協定であるのに、これらは計算に入っていないのです・・・非関税障壁の撤廃を考慮に入れたら、経済的あるいは社会的なマイナス効果はもっと拡大することも考えられます。

・そもそも、保護主義こそが、アメリカの建国以来の基本精神なのです。アメリカが「自由貿易の国」などというのは神話に過ぎません。

・この自由貿易帝国主義という考え方は、自由貿易というものの本質を考える上で非常に重要であり、今日の自由貿易やグローバル化のあり方を考える上でも、大変参考になります。自由貿易というのは、経済学者たちが信じているような、国家介入とは無縁で政治的に中立的な経済活動などでは決してなく、むしろ国際政治における国家の戦略的な手段の一つである。

・19世紀後半のイギリスやフランスは自由貿易を推進することで、経済を停滞させ、国力を相対的に低下させました。このように自国の国益にとって不利になるにもかかわらず、自由貿易を志向するケースがあります。国家とは、国益を追求しようとして動くのですが、何をすれば国益に資するかを正確に知っているとは限りません・・・ただ、「自由市場こそが国益に資する」というイデオロギーに強く影響されていたので自由貿易を望んだという側面が強かったのです。

・そして世界経済は、市場というルールで行われる企業間の経済競争ではなく、市場のルールの設定をめぐる国家間の政治抗争の場となったのです。これまで「グローバル化によって国家の力が小さくなる」という話をさんざん聞かされてきたと思いますが、その通説はまったくの間違いだったということです。

・つまり、アメリカが入っている貿易協定に日本も参加した場合、日本は国内法よりも優先して貿易協定を守る義務を追うのに対し、アメリカは国内法を優先して貿易協定の規定に違反することができるということになるのです。現にWHO協定の扱いは、そうなっています。これでは、条約の条文形式上は平等でも、実質的には「不平等条約」というものではないでしょうか・・・言うまでもなく、アメリカが超大国であるからです。まさに「FTA帝国主義」です。

・2000年代に労働分配率が低下し、労働者の賃金上昇が抑制されているということは、この時期に進んだハイパー・グローバリゼーションがデフレ効果を持ち、労働者に不利益をもたらしているという可能性を示しています・・・日本でも依然として多くの経済学者や経済官僚が、「グローバル化によるデフレ効果」を躍起になって否定しているようです。

・グローバル化こそが世界的経済危機の原因であるなら、その解決策は「グローバル化を抑制すること」であるはずです・・・ところが日本はいまだにグローバル化の幻想から抜けだせずにいる。そしてTPPという罠に自分からかかろうとしているのです。

・欧米からやってきた経済理論からすれば、農作物は商品であり、農家は生産者に過ぎません。よりやすく生産し、より多く取引できればそれでよいのです。こうした経済理論を信奉し、自由貿易やグローバル化を支持し、TPPや構造改革を訴える人にとって、日本の農家や農村は「無駄」で「非効率」で「古い」ものでしょう。組合長が長年培ってきた常識や知恵も、彼らが生活する農村共同体も、そしてその農村共同体をつないでいる伝統文化も、生産や貿易を妨げる「障壁」であり、取り除かなくてはいけないものと考える。彼らにとっては、ありとあらゆる「日本的なもの」こそ、相容れず、忌々しく、潰したいものなのです。

・アメリカとの間の協定におけるISD条項に問題がないことの保障にはなりません・・・提訴された件数は、アメリカ、カナダ、メキシコいずれも15件です。そのうち、アメリカ政府は1件も敗訴していません。他方、カナダ政府は2件で敗訴し、メキシコ政府は5件で敗訴していますが、いずれもアメリカの投資家が相手です。

・まさにISD条項は、各国の政府が国民に健康や安全を保護しようとすると、グローバル企業に訴えられるという事態を招いていますし、ラチェット規定は民主政治が規制緩和を是正しようとすることを不可能にするものとなっています。国民が自ら判断した基準によって、自分たちの健康や安全や福祉や雇用や環境を守り、自分たちの理想とする国を実現するのは民主主義の基本です。しかし自由貿易協定をテコとして進められてきたグローバル化は、それを不可能にするものなのです。

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香川県高松市のふじ家具センター代表藤澤琢磨です!家具修理・家具製作・家具デザインからソファ・椅子の張替えなどの話題をこのブログに綴ります。

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